『完璧な対称性は必要か?』を読んで。

2025年04月09日

  西荻窪駅から徒歩3分の股関節・骨盤矯正の整体・鴨下療法所です。【体の対称性】

 この文章は、私がnoteで愛読させていただいているSuper Humanさんスポーツと健康科学ジャーナル 第14巻、2025年12月に掲載された論文の日本語妙訳とコメント『完璧な対称性は必要か?』に関して、ご本人様にご了承を頂き私の意見を書いてみます。

 論文では、まず体の非対称性を3つのカテゴリーに分けています。

 1,完全な対称性・・・・・・到達不可能かつ必要ないとされており、これは理想的だが非現実的な状態。

 2,機能的非対称性・・・・・パフォーマンスに支障がなく、個々の生理的・構造的特徴に基づいた「許容可能な非対称」

 3,機能障害的非対称性・・・・走行メカニクスの不良、パフォーマンス低下、ケガのリスク増加に関連する非対称。このレベルの非対称は修正・介入が必要である。

 としていて、この対称、非対称を作る因子をつにわけて考えています。

 A、修正可能因子

 a 筋力および持久力の左右差
 b 神経筋協調性
 c 柔軟性と可動性
 d ランニング技術とバイオメカニクス
 e 疲労管理
 f トレーニング量と強度
 g 外的条件(地面の種類、シューズなど)

 →これらはトレーニングやフィードバックを通じて改善可能であり、パフォーマンス向上やケガ予防に直結する。

 B、修正不可能因子

 h 四肢長差
 i 遺伝的素因
 j 既往の外傷や構造的損傷
 k 解剖学的変異(例:股関節形状、足のアーチ)

 →これらは受け入れ、適応することが重要で、無理に矯正しようとするとかえってパフォーマンスや健康を損なう可能性がある。

 そして、この研究の結論は・・・

 今回の抄読論文は、陸上のスプリントにおいて、その疑問を投げかけ、結論として『完璧な対称性は必要なことではなく、神話であり、個別化された、機能に基づいたアプローチを取ることが重要性である』としている。

 Super Humanさんは、左右対称、と聞くと「森谷帝二」という名探偵コナンの映画、時計仕掛けの摩天楼の犯人と出てくるキャラクターの言葉を思い出すそうです。(私はまだこの映画を見ていないのでNETFRIXで見ようと思ってます)

 私は美しくなければ建築とは認めません。

 今の若い建築家の多くは、美意識が欠けています!

 もっと自分の作品に責任を持たなければいけないのです!

 森谷帝二

 完璧な対象であることと、良いことは、どうやら別のことのようだ。
 執着には、ご注意を、と警鐘で締めくくられています。

 確かに、執着しすぎるのもどうかと思いますが、私は重力の中で肉体が均衡を保っている状態こそが健康であると考える礒谷療法の徒なので、全てにおいては賛成の立場ではありません。

 まず、なぜ体に均衡が必要か?

 ◎ 均衡でない状態では筋肉の不必要な緊張が必ずあるので、神経や血管の圧迫が有るから。

 ◎ 重力の影響は常にかかるわけですから、一度バランスを失調するとその不均衡は増大してしまう。

 この2つの理由により均衡であることの必要性を感じます。

 

そして、礒谷公良先生は上記の、修正不可能因子である『四肢長差』を解消する股関節メカニズムの理論と技術を開発していますので、これは実は修正が可能な因子なのです。(修正不可能因子を無理に矯正しようとすると、パフォーマンスが落ちたり故障の原因になるとしていますが、決してそんなことはありません。無理なく自分の筋肉のバランスの回復により脚長差が解消出来ます)

 すると、修正可能因子である、a 筋力および持久力の左右差、b 神経筋協調性、c 柔軟性と可動性、d ランニング技術とバイオメカニクス、e 疲労管理がこの『四肢長差の解消プログラム』により大きく改善されてしまうのです。

 史上最速の男、ウサインボルトさんは側弯症があるために左右の脚長差もかなり大きいのに早い。

 この論文では、彼の成功も体の非対称性がパフォーマンスに影響しない、という周知の事実も証拠の一つにあげています。

 たしかに、左右非対称であるアスリートが素晴らしい記録を作ることがあるのは事実ですし、珍しことでもないとは思います。

 しかし、その歪みが記録の原動力になっているかどうかに関しては、限りなく疑わしいと思います。

 例えば、車などの工業的な機器においてスピードを上げるために左右非対称にしているということは、私は見たことも聞いたこともありません。

 私は、車のことなど詳しくは知りませんが多分車体の左右の重さなどは均等にしていますよね。

 人間の身体も、運動する機械と考えると、やはりシンメトリーの方が効率が良いということではないでしょうか?

 ただ、野球やゴルフのように左右不均等な動きをするスポーツの場合は、もしかすると左右不均等な肉体の方がパフォーマンスが上がる可能性はあるのかもしれませんが、競技者である前に生身の人間の肉体と考えると歪みは体にどうなんでしょうか?

 人間の臓器が左右対称ではないから左右非対称でも仕方がないという方もいますが、体の重さに左右差が有れば外から見た体もまっすぐでいられるはずはありません。

 体内にあるスペースの中にある柔らかい各臓器は、ビニール袋の中の水みたいなもので外形に併せてフレキシブルに動き、落ち着きのいいところに収まるのではないでしょうか?

 そして、骨格、筋肉の発育と共に周りとの結びつきで、その場所に定着して重力の中で体が偏ることなく生活できるようになるのだと思います。

 しかし、人間の生活はそうそう左右均等には生活できないために体にもその影響が出て体が歪み、その影響が痛みや疾患になるというのが礒谷療法の考え方となるわけです。

 ですから、この論文の「陸上スプリントにおいて完璧な左右対称性は必要ではない」という結論に関しては、私なら「なるべく体を左右均等にしつつ機能を上げるに越したことをない」と言いたいと思います。

 参考・・・体の左右差は色々なところに現れます:「体の左右差で気なっているところは?」

        体のバランス回復を根本的に行う礒谷式力学療法×CS60の整体院
               杉並区・西荻窪  鴨下療法所
                                                                        
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