貧乏ゆすりは変形性股関節症に効果があるのか?

2019年02月16日

写真A

写真B

写真C

写真D

 ここ数年貧乏ゆすりが変形性股関節症など股関節疾患や痛みに良いと聞くようになりました。そもそもこの貧乏ゆすり(=ジグリング)の発想の契機は、井上先生のHPによると「たまたま手術のミスで外転筋がうまくつかなかった時に劇的に変形性股関節症が改善していたから、それまでの筋肉を鍛える運動療法より筋肉を緩めることが大事だと気が付いた」からと言われています。
 そして、その為にカナダのソルター博士の「負荷をかけない持続的な運動が軟骨を再生させる」という理論からジグリングを発想されたそうです。しかし私はこのジグリングより「膝抱え運動」の方が効果は大きいと思います。
 
 その理由は外転筋が働かない事によっていい結果が出る人はO脚系の股関節疾患の人で反対に内転筋を緩めなくてはいけない人もいるというタイプ分けがなされていないので、『どの筋肉を緩める』という視点が無いのが残念なのです。
 例えば写真Aの様に骨盤を後傾して座ると外転筋は緊張してますからO脚の人が緩めるべき外転筋は緩まりずらいのですがX脚系の人には効果的といえます。

 また写真B,Cの様に大腿部と脛との捻じれなども股関節周辺の筋肉に多大な影響を与えますから、膝の向きや足先の向きにまで気を配らないと逆効果になる事もあります。
 さらに股関節疾患の方は脚の脚長差があり骨盤にも左右差が生じていますから、かなり気を付けて座らないとどちらかのお尻に体重が余計にかかることになりますから、これも股関節に影響が出てしまいます。
 ジグリングをやっても効果の出る人と出ない人がいるというのはこうしたことでは?椅子に座っていると股関節には体重の負荷がかかってしまっています。負荷をかけない運動が良いのなら、なぜ横になるという選択をしなかったのでしょう?
 礒谷式の膝抱え運動は床に横になるために股関節への負荷は限りなくゼロに近い状態になります。
 そして腕の力で膝を胸にひきつけるようにして股関節をゆすりますから股関節に与えるスウィング運動も大きくなりますし、ジグリングでは揺するために脚の筋肉を使うのに対しこちらは腕の筋肉を使うので脚の筋肉全体が緩みます。(これはゆる運動などでもそうですが揺することに使っている筋肉自体は緩まらないのです)
 さらにひざ抱え運動では脚がずれない様に膝の上で紐結びをしていますから左右にずれる心配もなく、脚のどこにも緊張が無い状態で揺すりますからその効果は絶大です。これはジグリングそのものの問題ではありませんが、ジグリングだけして杖の使用等により、とにかく脚に負担をかけない様にして軟骨の再生を待つという事ですが、その間に筋力が低下してしまうと、特に高齢者の場合はあとあと大変です。
 筋肉を緩める事はもちろん大切ですが、合わせて弱い筋肉を鍛える事も重要なので、関節に負担をかけない歩き方や体操等の指導も併せて行くべきと思います。結論としては、うまくいっている方はいいのですが、うまくいかない方、もっといい方法を探している方には上記の理由により「膝抱え運動」をお勧めいたします。是非一度お試しください。 
 
 貧乏ゆすりよりも効果的な体操を70年前に考案している礒谷療法をベースにした整体院   杉並・西荻窪 鴨下療法所