脚の長さは歩き方で調整できる?

2019年04月07日

『補高』と言う言葉を聞いたことがありますか?股関節疾患や、小児麻痺、交通事故での骨折などで左右の足の長さに差が大きくなっている時に歩行を改善するために、靴の高さや中敷きで脚の長さを揃える事を指す言葉です。以前、椎間板ヘルニアで脚の長さが違っている人が「長い方の脚を手術で切ろうか?」と言われたという話を書きましたが、やはり病院や西洋医学的な考え方をする治療では『短い脚を高くしてあげればいい』と、単純に足し算で長短差を埋めようと考えるようです。これは、股関節の動きのメカニズムを全く無視したやり方と言わざるを得ません。試していただきたいのですが、道路や公園などの安全で段差があるところを見つけていただき、右足を高いところ、左脚を低いところ、と言う様にして歩いてみてください。高い方の右脚は足先が内に向くのが自然ではないでしょうか?そして低い方の左足先は外に向かないでしょうか?さらに左右の脚を変えて再度試していただくと、やはり高い方の足先が内に向くのを確認していただけると思います。つまり、足を高くすると脚は内に捻じれると言う事です。
 そしてこれは、礒谷公良先生の『股関節が内に捻じれると脚は短くなる』と言う理論からすると、短い脚を高くすると、短い脚がさらに内に捻じれて短くなってしまうのです。特に変形性股関節症の方の場合などは、股関節角度が捻じれれば捻じれるほど痛みを感じますから、痛みを取ろうとして靴にインソールなどを入れてその時の見た目の足の長さを揃えてしまうと、初めはいいのですがしばらくすると(人により差はありますが、すぐに痛む方もいらっしゃいますし、1年2年後に痛みが出てくる方もいらっしゃいました)痛みが出てきてしまい、左右の足の長さを計測すると初めより長短差が大きくなり、お医者様は「症状が進行してしまったので、さらにインソールを高いものにしましょう」とインソールの高さを増していき、いよいよ痛みが強くなると「手術しかないですね」と進んでいくようです。
 以前、患者様で「変形性股関節症なんだけど、幸い全然痛みが無かったんだけど、病院の定期検診で足の長短差が大きくなってきたから補高しましょうと言われ、補高靴を使用し始めたら1年後ぐらいにすごく痛みが出てきてしまった」と言う方がいらっしゃいましたが、この方の場合矯正をお受けいただき、インソールの使用を止めたら痛みはすぐ消えました。ですからこの補高は、股関節のメカニズムを考えたら逆に長い脚にするべきなのですが、そうするとかなり歩きづらくなったしまいますから、歩き方で補高しようと言うのが当所の歩行指導です。
 これはそんなに難しいものでは無く、どなたでも無理なく行っていただけるものですし、インソール等の様に靴を履いている時だけ影響があると言うものでもありません。また、この歩行トレーニングに合わせた杖の使い方などもご指導しております。
 

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