丹田に力を入れて!?

2019年07月05日

 丹田とは、臍下丹田と言われるようにへその下1寸ですから3~4センチ下あたりの経穴、つぼの名称です。もともと東洋医学の概念が武道、スポーツなどにも広がり、よく使われるようになっています。曰く「丹田に力を籠めろ」「丹田を意識しろ」と。私の呉式太極拳の先生はこれらに「とんでもない!丹田から力は出ていくんだから、力こめてどうするの?」とよく言われていました。

 先日、あるランニング関係の本を読んでいましたら、気になる箇所を見つけました。「丹田は人間の身体の中心で、体の重心が有る位置にあります。しっかりとした体幹を維持するには、丹田を上下左右にぶれさせない事が大切。腹筋全体に力を入れる必要は無く、ヘソの4~5センチ下を意識するだけでOKです」

 惜しい!非常にいいことを言われていますし、私自身この方のランニング哲学は好きなので、ちょっと残念です。上の文章の前半部分はまさにそのとうりなのですが、丹田がぶれないようにするために、意識を使うと、結局力を入れる事と同義になってしまいます。
 したがって、丹田を使えるようにするためには骨盤を安定させる必要が有り、骨盤を安定させるためには脚の筋肉をバランスよく鍛える必要が有るのです。
 上の写真の左側はO脚により骨盤が後傾している状態です。これでは骨盤が安定していないので丹田の位置では筋肉が緊張してしまい体幹も使えないのは一目瞭然です。右側の写真は股関節の前側、鼠蹊部で体を少し前傾させて骨盤をニュートラルにした状態です。このランニングの本では、この状態を丹田を意識することにより作ろうとしているのですが、ここは丹田などと言わずに、骨盤を起こす。と言っていただいた方が誤解が生じないのではないでしょうか?良いランニングフォームには良い姿勢が必須なのですから。

 体幹トレーニングや体幹を使う、体幹呼吸法など、発想は確かにいいのですが、まず体幹が使える状態になって次のステップで考えないと間違いの元です。
 
                        骨盤を安定させて体幹が使えるようになる整体院 杉並・西荻窪 鴨下療法所 

 
 

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