.推薦文・共同研究

東京大学・竹下先生の推薦文

この度、鴨下療法所との共同研究を通じて、礒谷式力学療法の科学的検証に携わる機会をいただき、その独創的なアプローチを研究する貴重な機会を得ました。

鴨下療法所が実践されている礒谷式力学療法は、股関節や骨盤の歪みが全身に及ぼす影響を、重力環境下での身体の平衡という力学的観点から捉えたアプローチです。

例えば、左骨盤高位による体の左右バランス調整のために脊椎が湾曲し左肩が下がる、妊娠時の腹部重量増加による前方重心移動に対して上半身が前傾し骨盤が後方へ移動することで腰椎が前弯して反り腰になるなど、身体が重力環境下で力学的平衡を保とうとする適応メカニズムに着目した治療法です。

礒谷式力学療法の効果については、既に早稲田大学との共同研究において腰椎前弯を増大させる効果が科学的に実証されており(Kadono et al., Clinical Spine Surgery, 2017)、その基盤の上に立って我々の研究を展開することができました。

我々の共同研究では、特にランニングにおいて骨盤の状態が足の接地位置に与える影響という新たな視点から予備的な検証を行いました。

1名の被験者を対象とした事例研究ではありますが、礒谷式力学療法により腰椎前弯の改善、ランニング中の上体前傾の最適化、足圧中心の前方遷移、さらには接地時の減速作用の低減という変化が観察されました。

これらの予備的知見は、身体構造を力学的に捉える治療体系の可能性を示唆するものと考えられます。なお、本研究成果は2025年3月に開催された第37回ランニング学会大会においてポスター発表を行いました。

鴨下療法所の長年にわたる臨床経験と理論的探求、そして科学的検証への積極的な姿勢は、伝統的な治療法の新たな可能性を探求するものとして評価いたします。

左:竹下大介(タケシタダイスケ)
東京大学大学院総合文化研究科 准教授
研究分野ライフサイエンス / スポーツ科学 / バイオメカニクス 神経科学
経歴エッラ・ゲオルグエフルンルース財団 博士取得後研究員, (ヘルシンキ大学)
ゲッティンゲン大学, 医学部, 博士取得後研究員
マックスプランク神経生物学研究所, 博士取得後研究員