臨床例・・・脊柱すべり症

2019年03月31日

 

写真A

写真B


 
 昨年11月30日に初診受付をされた女性60歳代の方です。主訴は1週間前から起こった激しい膝痛と腰痛という事でした。腰痛は20年来痛みが出たり消えたりを繰り返してきたとの事でしたが、膝の痛みは昨年8月に歩けないほどの痛みが起こった時は痛み止めの服薬で1週間程度で消えたが、今回は痛み止めもまったく効果がないとの事で、私の徒歩で1分ぐらいの距離でも車を使うという状態でした。外見も上半身が写真Aの様に左に30度位曲がっていました。痛みは右膝正面、右鼠蹊部外側にあり、特に朝起床して体を伸ばす時が一番きつい痛みに襲われるが、しばらくするとなじんでくるという事でした。病院での診断名は脊柱すべり症、膝は加齢による痛みと診断されたそうです。
 私の所見は、とにかく右骨盤高位により起こっている脊柱左側弯と股関節の開き過ぎによる骨盤後傾。また体の使い方のクセ「腰を反らせて良い姿勢を作ろうとする」が強い事が分かりました。鼠蹊部外側の痛みは股関節を外へ開く外転筋群の緊張による神経圧迫(1次的な根本原因)で、膝の痛みは上半身が左側弯して骨盤が右脚に乗らないので写真Bの黄色線の様に大腿前面の筋肉まで引っ張っているから起こっている(2次的な問題)と判断し、その根っこは同一であると結論しました。
 矯正は右脚に骨盤がしっかり乗るように右脚外側を緩めるための股関節矯正と骨盤後傾で緊張している大腿前面のストレッチを主軸に脚、腰、体幹を緩めました。患者様本人にも生活の中で、右に体重がかかっていない事が痛みの原因だからがんばって右重心で生活をしていただくためのルールをよくご理解いただき実践してもらい、硬い部分の筋肉のストレッチと弱い筋肉の強化の体操に取り組んでいただきました。また、日常生活の中で腰に力を入れて作る『良い姿勢』ではなく、『骨盤を起こすことによる本当の良い姿勢』の習慣作りにお励みいただきました。
 11月の初回矯正は「お試し施術」でしたが昨年中に16回お通いいただき痛みはほとんどなくなり、年末休業を挟んで年明けに来られた時にはあれだけ曲がっていた脊柱はほぼまっすぐ、痛みは消失していました。現在は週1回から徐々に月3週に1回ぐらいと間隔を空けられて長年の身体のクセを取り除き、今後また再発など起こらない様に矯正を続けていただいています。

 
 

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