登山のお好きな女性の患者様です。
休日にお仲間と山登りを楽しまれている方ですが、シルバーウィークに2日連続で山に行かれたら、その後に右半身がすごく痛くなってしまったとの事でお越しいただきました。
お身体を拝見すると、もともと右肩回りに合った硬さがかなりきつくなり、右腕は上にまっすぐ伸びなくなってしまっていて、さらに首にちょっと触っても「痛たた~」と言うぐらい張ってしまっていました。
当院の治療は、その歪みや問題がどうして起こってしまったのかを推論して問診、触診をさせていただき治療の方向を決定して矯正を行い、必要に応じてアドバイスをさせていただきます。
そしてその歪みの起点になるのが股関節になるのです。
この方は、股関節の状態が両股関節とも開く緊張が大変強くなっており、特に左股関節は「ずれましたね!」と言う感じでした。
ですから登山をしてこの状態になると言う事から推測できる原因は?
①下山がうまく出来ていない・・・下山の時はどうしても前にのめらない様に身体の前後の重さのバランスを取るために腰が前に突き出るようになり易いのですが、この動きは股関節を開いてしまう事に繋がります。
そしてこの緊張は身体の前面の筋肉の緊張を作ってしまいますから、身体全体が前に引っ張られいわゆる猫背状態の緊張を作るために背中側も引っ張られ緊張を起こしてしまいます。
この患者様にもこのお話をさせていただくと「いつもはポールを使って登山してるけど、今回は持っていかなかったのよね」と言う事でしたので、下山の時に腰が突き出たと推論が確信に変わりました。
②この方は左脚が長いタイプの方なので、登山中、どうしても左脚の一歩が右足の一歩に比べて大きかったことが考えられます。
ですから、次回登山に行かれる時のアドバイスは?
①に対しては、ポールを使い下山の時にはなるべく身体を地面に対して水平に近づく様にして、歩幅をもう少し小さくして骨盤から脚を出す様にしてください。
②に対しては、歩きだしを必ず右脚から出し、右の一歩が左の一歩より大ききなるようにしてください。
また、ご友人と横に並んで歩くときは必ず自分が右に立つようにして左を向いておしゃべりしてください。
とこのようなものになります。
先日、ブログで『NHKのためしてガッテンの肩こり を見て』にも書きましたが、身体に起こる異変、痛み、病気に対して、『どうしてそれが起こってしまったんだろう?』と言う視点が抜けすぎていると書きましたが、この事例などまさに、痛みが様々な情報を教えてくれ、それにより根本的な解決方法が分かるといういい例ではないでしょうか?
痛みは誰でもいやなものです、一刻も早く無くしたい、これは誰でも当然願うものです。
しかし、それが一時的な物であれば、残っている原因はまた問題を作りますし、次の時には問題がもっと大きくなっている可能性が高いのです。
痛みや不調は原因が有って起こるのです。
ですからそれらをとおして「何かが違ったよ」と身体が教えてくれているのですから、その声を無視しては問題の本当の解決にはなっていないのです。